イヤホンをつけていると外の音が聞きづらくなるのが最大の難点。音楽は聞きたいけど外の音も聞こえる状態がいい!と思ったときの選択肢はなかなか少ないし、骨伝導イヤホンなどは値段が高い割に音質がそこまでいいわけじゃないのが辛い。
今回はそんな悩みを解決してくれそうなイヤホンをSOUNDPEATS様よりご提供いただいた。商品提供を受けているが忖度なくレビューを行っていく。
SOUNDPEATS Clip1


今回レビューする「SOUNDPEATS Clip1」は2025年8月25日に発売されたばかりの最新ワイヤレスイヤホン。一般的なカナル型イヤホンとは異なり、イヤーカフ型という特殊な形状をしているのが最大のポイント。オープンイヤーで耳穴を塞がないので、音楽を聞きながら周囲の音も聞こえるという特徴を持つイヤホンだ。
通常販売価格は2025年11月時点で9,980円と少し高めの設定だが、定期的にクーポンコードが配布されている様子。

- イヤホン本体
- 充電ケース
- 充電用Type-Cケーブル
- 取扱説明書(日本語あり)
- アプリガイドカード
- ステッカー
が付属。イヤーカフ型故にイヤーピースなどは付属しない。専用アプリ「PaetsAudio」をスマートフォンにインストールすると各種設定をすることが可能。

スペック
| ブランド | SOUNDPEATS |
| モデル | Clip1 |
| 形式 | イヤーカフ型 |
| ドライバー | Φ12mmデュアルマグネットダイナミックドライバー(チタンPVDコーティング) |
| 周波数 | 20Hz-40kHz |
| 感度 | 不明 |
| インピーダンス | 32Ω |
| ハイレゾ認証 | 有り |
| Dolby Audio | 対応 |
| Bluetoothバージョン | 5.4 |
| コーデック | SBC/AAC/LDAC |
| 通信距離 | 10.1m |
| 最大持続時間 | 単体8時間 ケース込み40時間 |
| バッテリー容量 | イヤホン:不明 充電ケース:450mAh |
| 充電時間 | イヤホン:1時間 充電ケース:2時間 |
| マイク | 内蔵 |
| アクティブノイズキャンセリング | 搭載 |
| 重量(実測) | 片側:5g ケース:55g |
| ケース外寸 | 約71.5×49×35mm |
コーデックはAACに対応しているのでiPhoneユーザーでも高音質で視聴できる。またLDACにも対応しているのでAndroidユーザーならさらなる高音質が楽しめる。ただしLDACを有効にするとマルチポイント接続やDolby Audioが使えなくなる。
ケースは十分に小型軽量


グレーメタリックの充電ケースは十分に小型軽量。以前レビューしたSOUNDPEATS Mini Pro HSの充電ケースはあからさまに小さかったのでそれに比べると一回り大きいが、有線イヤホンと比べればむしろ小さいぐらい。片手に十分収まるサイズ感。重量も実測55gと軽量。
正面にはLEDインジケーターが備わり、充電状態を確認できる。

裏面には充電用のUSB Type-C端子とリセットボタンがあるだけ。Type-C端子は少し奥まった場所にあるので、ケーブルによっては若干引っかかりがあって挿しづらさが無きにしもあらずといったところ。リセットボタンは接続済みデバイスとの登録を解除するのに使用する。


パカッと開けるとイヤホン本体が出てくる。耳をはさみこむイヤーカフ型なのでイヤホン本体のサイズはカナル型のワイヤレスイヤホンに比べると少し大きく感じる。
イヤホン本体はマグネットで充電ケースと固定される。固定の強さはちょうどいいぐらいで、取り出すのもケースに入れるのもスッとできる。

技適などの各種記載は蓋の裏にある。
左右の区別がないイヤーカフ型イヤホン

SOUNDPEATS Clip1本体は全体的にマットな質感。プラスチックやシリコンなど異種素材を使っているのに質感を揃えているのは地味ながらすごい。部分的に光沢のある金属を配置することで多少の高級感も演出している。とはいえ決して高そうに見えるイヤホンというわけではないが。

驚くべきことにイヤホン本体は左右の区別がなく、全く同じ形をしている。実はこれ、装着位置をデバイスが自動で識別してステレオのチャンネルを割り当ててくれる「左右自動認識機能」が搭載されている。イヤホンが右か左か確認しながら付けるのはワイヤレスイヤホンで地味にめんどくさいポイントなので、この機能はかなり嬉しい。
ちなみに片耳だけ装着しても使える。またイヤホンをタップすることで曲送りや音量調整も可能。このあたりはよくあるワイヤレスイヤホンと同じ機能を搭載している。
軽いがかなり独特な装着感
個人的にイヤーカフ型イヤホンを使うのは初めてなので、まず最初はSOUNDPEATS Clip1の独特な装着感に驚いた。耳を挟む形でイヤホンを押し込み、球体部分を軽く耳穴に入れるだけ。外耳道自体にはイヤホンが入っていないし、耳を軽く挟み込んでいるだけなので、イヤホンの位置は案外動きやすい。

バチッとイヤホンの場所が決まるわけではないので、しっくり来る場所に合わせるのには最初は少し時間がかかった。慣れてくると「だいたいこのへんだな」というのがわかってくるが、あまりにも一般的なイヤホンと装着感が違うので戸惑いがあった。
また固定力もそれなりに軽いので、わざと激しめにジャンプしてみたりするとイヤホンが若干動いてしまう。イヤホンの向きが若干変わると音の聞こえ方もちょっと変わる。ランニングなどの運動中にイヤホンが脱落することはないだろうが、このイヤホンの持てる最大限の音質で聞き続けるのは難しそう。
イヤホンの重量が片側5gと軽いので装着していることを意識することはほとんど無いのだが、30分ぐらいつけっぱなしにしてから外すと、意外と耳に痛みを感じていたことに気づいたりする。1時間ぐらいつけていたらちょっとずつ痛みを覚えた。この部分は個人差もあると思う。
また耳の外側にケーブルがある都合上、イヤホンをつけたままベッドに転がるなどするとかなり邪魔に感じる。ごろ寝用には向いていない。
周囲の雑音がちゃんと聞こえる
外耳道をほぼ塞いでいないので、周囲の音はイヤホン未装着状態と比べて体感1割減ぐらいで聞こえる。実際に装着して音楽を流しながら人と会話したり、施設内のアナウンスを聞いたりしてみたが、日常的な部分で聞こえの支障は全く感じなかった。ごくごく小さい機械の動作音などは聞き取りづらくなったが、それを聞かねばならない場面ではイヤホンなんてつけている場合ではない。

また自分の声の聞こえ方も自然なままなのも地味に嬉しいポイント。オープンイヤー型イヤホンのメリットははっきりと感じる。
専用アプリ「PaetsAudio」の出来は普通
SOUNDPEATS Clip1の機能をフルに活かすには専用アプリ「PaetsAudio」をスマートフォンにインストールする必要がある。今回はAndroid版アプリを使用した。

ちなみに評価はインストールした時点で☆1.9と信じられないぐらい低い。別にそこまで文句言うほどひどいアプリだとは思わないのだが…。

ただ、たかだかイヤホンを使うためだけにアプリをインストールして会員登録しなければいけないというのは非常にめんどくさいとは思う。

SOUNDPEATS Clip1とのBluetooth接続は非常にスマートで速い。一度接続してしまえば、特に設定をいじったりしなければ充電ケースからイヤホンを取り出すだけで即接続される。試しにイヤホンとスマホを5mぐらい離れてみたり、壁越しにしてみたりしたが、接続強度は十分に強かった。

- Dolby Audio
- マルチポイント
- タッチコントロールを無効にする
- 装着検出
- ゲームモード
- カスタムキー(タッチコントロールの仕様変更)
- ダイナミックEQ
- LDAC
の8項目を設定可能。ただしLDACをONにするとDolby Audioとマルチポイントとゲームモードが使えなくなる。
試してみた限りDolby AudioのONで特別に音質がよくなったり、ゲームモードのONで遅延がものすごく解消されたりするわけではなかった。Dolby Audioに関してはONにすると音場の広さを誇張した感じになって逆にぼやっとした音になったように感じた。AndroidユーザーならLDACをONにして使うのが一番ストレスなく使える気がする。

イコライザーは自分の耳の聞こえに合わせて調整できる「ダイナミックEQ」やプリセット、さらにカスタムイコライザーまで様々設定できる。なぜかデフォルトのイコライザーに戻すという選択肢が無いのが不思議だが、ある程度好みの音質に調整はできる。いくつか試してみたが、個人的にはデフォルトのままでいいと思う。
音質:量も質も十分にあるのに圧がない独自の音質
音質についてレビューしていく。なお、イコライザー等の調整は行わず、LDACをONにした状態でレビューをしている。
SOUNDPEATSにはClip1の前に2024年発売の「CCイヤーカフ」、そして2025年の「UUイヤーカフ」という2種類のイヤーカフ型イヤホンがあった。が、メーカー曰くカナル型イヤホンに比べるとどうしても”没入感”や”低音の物足りなさ”があったという。

SOUNDPEATS Clip1の音質だが、かなり不思議な印象だ。低音から高音までしっかり出ているし、課題だという低音の迫力もちゃんとある。ロックサウンドを聞いてもドラムの低音が失われている感じはないし、割とキレも良い。細かい音までしっかり出ている。ただ低音はちょっと無理に持っている感も多少ある。
もちろんBA搭載のマルチハイブリッドイヤホンに比べれば中音域の厚みや細かい表現、高音域の伸びなどは一歩劣る部分はある。ただ12mmのシングルDDとしては十分。
音の傾向はかまぼこ型で、一番フォーカスが当たっているのは中音域。音場感はちょっと狭めで、頭の中で音が鳴っているような感じがしないこともないが、左右の分離感はきちんとある。

ただカナル型イヤホンに比べるとなんだか膜が1枚挟まっているような、圧力の低さがある。情報量が多く細かい音までしっかり出ているのに、まるでラジオを聞いているような音の軽さ、全体的なボヤつきが否めない。
これはもう完全にオープンイヤー型イヤホンの宿命だろう。カナル型と違って鼓膜から少し離れたところで音を出しているし、外耳道を密閉していないがゆえの低圧さがこのような印象を抱かせているのだと思う。
ただ同じオープンイヤー型でも骨伝導イヤホンに比べるとかなりカナル型イヤホンに近い印象。腰を据えてしっかりと音楽を楽しもうと思うには物足りなさを覚えるが、作業中や運動中に聞くには十分にいい。自分一人に向けて妙に高音質なラジオを垂れ流しているような感覚になる。
音漏れは軽微なレベル

人によっては気になるポイントだろうが、当然のごとく音漏れは存在する。が、かなり軽微なレベルで、常識的な音量では30cmぐらいまで近づかないとよく聞こえない。音量や周囲の雑音の状況によっては聞こえない範囲だとは思う。1mも離れればほぼ聞こえない程度なので、よほど混雑した満員電車とかでなければあまり気にしなくて良いと思う。
マイクの性能は微妙
内蔵マイクの性能も試してみたが、こちらはそこまで良くない。音質的にはトランシーバーぐらいで、会話に支障は無いレベル。単体8時間の連続稼働時間があるので、運転中のハンズフリーイヤホンとしても使えると思う。
動画視聴には問題無いレベルの遅延
Bluetoothイヤホンということで遅延の具合も気になるが、LDAC接続時にはそこまで極端な遅延は感じられなかった。動画視聴には全く問題を覚えないレベル。ただしゲームなどをするには向いていない。
アプリの設定でゲームモードがあるのでONにしてみたが、ONにしたところで遅延が短くなったようには思えなかった。ゲームモードをONにするとSBCコーデックに切り替わるせいか、むしろ場合によってはLDACよりも悪いのでは…?と思う場面もちらほら。
そこそこ良い音で楽しめるオープンイヤー型イヤホン

やはりオープンイヤー故にカナル型イヤホンやヘッドホンと比べると音質的に気になる部分が否めなかったSOUNDPEATS Clip1。細かな音までしっかり鳴らし、課題だという低音の迫力も十分にあるのに、音のクリアさに欠けているのは残念に思う。ただそれを求めるのは欲張りすぎるかもしれない。
一方で左右の区別がなく、つけた耳に合わせて左右を切り替える機能や、全体的なコンパクトさ、アプリによる調整などができる点は好印象。ワイヤレスイヤホンとしての使い勝手はよく、装着感もかなり軽い。僕の耳だと長時間使用時に若干痛みを感じたが、ここは個人差があるはず。

トータルで見てSOUNDPEATS Clip1の完成度は高い。音質で気になる部分は確かにあるが、それは腰を据えて音楽だけを楽しもうと思ったときに問題になる範囲。公共交通機関を使っての通勤通学中や、運動中など周囲の音も拾いながら行動しなければならない場面でもそこそこ良い音を聞きたいと思った時、SOUNDPEATS Clip1は見事にその要求に答えてくれるはず。
10% OFFクーポン発行!
提供元のSOUNDPEATSより、Amazonで使える10% OFFのクーポンコードを発行してもらった。商品ページのクーポンと併用可能なので、この機会にお得にSOUNDPEATS Clip1を手に入れてみてはいかがだろうか?
Amazonクーポンコード:SPZYCLPHR01
対象商品:SOUNDPEATS Clip1
有効期限:2025年11月21日 00:01~12月21日 23:59
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