radius ULTMATE Solid HP-N300BT:全域でソリッドな音色を奏でるaptX対応Bluetoothイヤホン

Bluetoothイヤホン

Bluetoothイヤホンが欲しいなぁ~とたまに思う。普段イヤホンやヘッドフォンなんてほぼ使わないのだが、一人で電車や飛行機に乗る時だけはイヤホンで音楽やラジオをよく聴いている。そのような移動が多い状況でスマホやiPod nanoにイヤホンを接続していると、かなりケーブルが邪魔に感じて仕方がない。

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低価格で高音質なBluetoothイヤホンが欲しい

というわけでBluetoothイヤホンが欲しい。さらに言えば周りの雑音が多い状況でしかイヤホンを使わないので、音漏れしずらく遮音性がある程度あるイヤホンを、なるべく低価格で欲しい。というわけで条件は、

  • 予算5000~10000円
  • aptXコーデック対応
  • 密閉型イヤホン
  • 左右分離のトゥルーワイヤレスが欲しいけど…

予算はなるべく安いほうがいいものの、実際問題として(少なくとも定価で)5000円程度は出さないとまともな音質のイヤホンは存在しない。そこにBluetoothイヤホンという付加価値が付くのでさらに予算はUP。一方でオーディオはあまりに沼が深すぎ、1万円以上のイヤホンの価値は分かるが、そこから先は値段と音質がそこまで比例してこないので無し。せっかく買うならCD並みの音質が確保できるaptXコーデック対応のトゥルーワイヤレス型が欲しいが、今のところその条件だと予算オーバーになるので左右一体型から選ぶことになる。AAC対応なら予算内で選べるが、僕はiPhoneユーザーじゃないのでAACコーデック対応だとメリットがあまりない。そして、いろいろ探って選んだのがこれ。

radius ULTMATE Solid HP-N300BT

radius Pure Standard Wirelessシリーズの最上位モデルであるULTMATE Solid HP-N300BT(レッドなので正確にはHP-N300BTR)。2018年6月に発売されたばかりの新しいイヤホンだ。

スペック

メーカー radius
モデル名 HP-N300BT
通信方式 Bluetooth 4.1
出力 Bluetooth Power Class2
最大通信距離 見通し距離10m
対応Bluetoothプロファイル A2DP, AVRCP, HFP, HSP
コンテンツ保護方式 SCMS-T
対応コーデック SBC, AAC, aptX
電池持続時間 連続再生時間:最大9時間
待ち受け時間:最大180時間
充電時間 約2時間
イヤホン形式 ダイナミック型
ドライバー Φ13.0mm
出力音圧レベル 105±3dB
再生周波数帯域 4Hz~25,000Hz
インピーダンス 18Ω
防水性能 IPX4
カラーバリエーション レッド / ブラック

再生周波数域が40,000Hzを超えていないのでいわゆるハイレゾ対応のイヤホンではないが、低周波から高周波まで幅広く鳴らしつつ(人間の耳は10Hz~20,000Hzぐらいまでしか聞こえないらしいが)、ドライバーが13.0mmと大きめ、さらにインピーダンスも18Ωとちょうどいい感じでバランスが取れてるじゃないかな~とは思う。ただイヤホンの性能=音質の良さはこのスペックシートには表れてこないので、ここばっかり見ていても仕方がない。

外観/機能のチェック

箱の裏面は一部がクリアになっていて、イヤホンが見えるようになっている。

中身は

  • イヤホン本体
  • 充電ケーブル(microUSB)
  • バッテリークリップ
  • イヤーピース(XS / S / M(本体に装着) / L)
  • イヤホンケース
  • 取扱説明書

普段使用しているイヤホンのSONY MDR-EX450は12.0mmドライバーなので、ボディの大きさはさほど気にならないレベル。樹脂製のため質感は少し劣るが、メタリック調の赤色は鮮やかでかっこいい。

ボディにマグネットはないので、首から下げてボディ同士をカチッとくっつけておくということはできないが、個人的にはあの機能が付くとボディが大きくなるので、これぐらいのサイズ感のほうが装着時にかっこよく、デザイン的にも優れているのではないかと思う。首の前でくっつけるようにできていないため、そうできるBluetoothイヤホンに比べてケーブルが短めなのもうれしい。

またイヤーピースはradius独自のディープマウントタイプなので耳の奥で固定される感じがある。おかげで遮音性も高く、ボディ形状と合わさって固定具がないにもかかわらずそう簡単に耳から外れそうにはならない。

さらにイヤーピースは2段階で装着位置を調整できる。試してみたが、僕は奥側に固定したほうがよりフィット感が高まり、ドライバーが耳に近づいたためかより音がはっきりと聞こえるようになった。ちなみにイヤーピースはイヤホンに対しかなりきつめに作られているので、イヤーピースの変更や調整は少し手間取った。その分イヤーピースが外れにくいので持ち運びは安心。

イヤホン右側にはリモコンが装備。

  • 中央:電源・再生/一時停止ボタン
  • 右:音量調整(+)ボタン
  • 左:音量調整(-)ボタン
  • 手前のカバー:充電コネクタカバー
  • +と電源の間:LEDランプ

が付いている。3つのボタンはどれも適切なサイズでクリック感がしっかりあるので操作しやすい。リモコン本体はとても軽いので、イヤホンを装着すると右側だけがやたら重く感じる、なんてことは全くなかった。

充電カバーを空けるとmicroUSBの充電コネクタが出てくる。カバーは柔らかめの樹脂でできていて、奥までしっかり嵌めると少し開けるのが困難になった。ひっかけるためのツメがあるのだけども、もう少し開けやすいと良かったなぁとは思う。今どき充電端子もできればUSB TypeCがいいのだけども、TypeCのほうがmicroUSBよりも一回り大きいので、小型を意識するとこっちになるのだろうか…。

microUSBを差し込めばLEDランプが赤く点灯し充電される。充電時間は約2時間で、充電が終了するとLEDランプは青色に点灯する。開封後すぐに充電をしたが、10分程度で充電が完了したので、保管中も適切な分だけバッテリーが充電されていたようだ。リチウムイオン電池は過放電が怖いので、そのあたりがしっかり管理されているのはありがたい。

リモコンの裏にはマイクが付いていて、スマートフォンと接続することで電話も可能。電話がかかった来たときは、電源ボタンを一回押すだけで電話が取れる。イヤホンを装着するとリモコンはちょうど首筋あたりにぶら下がるので、音もちゃんと拾えるとは思うが、マイクは現時点で未使用なので性能は不明。

リモコン内ではなく、イヤホンをつなぐケーブルのちょうど真ん中にバッテリーが搭載されている。バッテリーも特に重さは感じないので、頭が後ろに引っ張られるような感覚はほとんどない。ただし、バッテリーが左右どちらかにずれているとなんだか少し違和感を感じる。シャツの内側にバッテリーを滑り込ませてしまえばあんまり気にならないのだけども。

そこで付属のクリップをバッテリーに装着し、シャツの襟もとに固定してみる。するとバッテリーが揺れることから解放され、装着感がUPする。ケーブルの長さも適切なので、左右に問題なく首が振れるのにケーブルが邪魔に感じない。ジムなどで運動するのであればクリップで固定したほうがいいだろう。クリップで固定しておけば、耳からイヤホンを外して首から掛けたときにもイヤホンが脱落してしまう心配がないので、移動中の使用にも安心。

スマートフォン/DAPとのペアリングは簡単

音楽プレイヤーとの接続は、

  1. 電源OFFの状態から、電源ボタンを3秒以上(とあるが実際は5秒ほど)長押しする
  2. LEDランプが青⇔赤交互に点滅し、ペアリングモードになる
  3. 接続機器のBluetooth設定をONにし、radius HP-N300BTを検索、登録する

の3ステップで終了。超簡単。一度ペアリングしてしまえば、接続機器とイヤホンの電源をONにするだけで自動的に接続されるのも嬉しい。

4台までのマルチペアリングが可能

安いイヤホンだと1台しかペアリングできないというものもあるが、HP-N300BTは4台の接続機器までペアリング情報を記憶できる。例えばスマートフォンと音楽プレイヤー、モバイルPCにタブレット、この全てをいちいちペアリング作業を行わずにつなげることができる。5台以上になると古い情報から順に消えていく。

2台までのマルチポイント機能付き

HP-N300BTは2台のBluetooth機器に同時に接続できる。これの最も有用な使い方はスマートフォンと音楽プレイヤーの同時接続だろう。音楽プレイヤーで音楽を聴いている最中に掛かってきた電話をHP-N300BTで受け取ることができる。またスマートフォン2台を同時接続もできるので、2台の電話を受け取ることも可能。音楽を聴いている最中は電話に気づかないことも多いので、これは結構ありがたい機能だと思う。

IPX4の防滴性能

HP-N300BTはIPX4仕様の防滴性能がある。これは水の飛沫に耐えられる程度の防水性能なので、一般的な言葉で言うところの「生活防水」にあたる。スポーツ中の汗や急な雨ぐらいであればある程度対応できるので、トレーニング中の使用なども可能。

HP-N300BTの音質

Pure Standard Wirelessシリーズ下位モデルとの比較

このイヤホンを購入する際は店舗でPure Standard Wirelessシリーズの2機種も聞き比べてみた。それぞれ1000円ずつしか価格差がないので、もしエントリーモデルで十分満足できるのであればそれでもいいかなぁ~と思いながら視聴してみた。ちなみに下位2機種はSBCコーデックにのみ対応しているが、その反面Bluetooth4.2にバージョンが上がっている。

Pure Flat HP-N100BT

HP-N100BTは8.8mmドライバー搭載のエントリーモデル。Pure Flatの名前が付いているだけあって全域でクリアに音が鳴り、そこら辺の安物イヤホンとは一線を画す音質。正直5000円のイヤホンとしては最強レベルにあると思う。ただ全域フラットなだけあって逆にこれといった特徴がなく、パッと聞いただけだとつまらない印象になってしまうかも。4種類のカラーバリエーションがあり、どれもメタリック調の鮮やかな色をしていたのでお洒落に使いこなせそう。

EXTRA Clear HP-N200BT

ミドルレンジのHP-N200BTは10.4mmドライバー搭載。HP-N100BTに比べると、クリアな音質はそのままに中高音の質が一段階上がった印象で、ボーカルの声がよく聞こえるようになった感じで、”EXTRA Clear”という名前通り。ただ高音域の迫力が増した分だけ低音の迫力が足りない気がした。上位機種のHP-N300BTがあるので、これを買う意義とは…?という感じもあるが、女性ボーカルがはっきり聞きたいのであればアリだと思う。

HP-N300BTの音質

というわけで本題のHP-N300BTの音質レビューに移る。電源ボタンを3秒以上(とあるが実際は5秒ほど)長押しすると電源がONになる。この時「コネクティッド」と声がするのだが、ちょっとこの声が大きいのが邪魔に感じる点はある。「ピー」とかの機械音でいいのになぁ。ちなみに同じく電源ボタン長押しで電源OFFになるのだが、その時になる「パワーオフ」の声も大きい。

レビューにはSAMSUNG GALAXY S8を使用した。

さて、HP-N100BT→HP-N200BT→HP-N300BTと聞き比べていくと、まさしくこれが最上位モデルであると確信させてくれる。100や200で足りなかった低音がかなり効くようになってくるし、何よりもすごいのは低音から高音まですべての音がくっきりはっきりと聞こえるようになったこと。ギターをギュインギュイン鳴らす高音からドラムの響く低音まで、音の一粒一粒がしっかりときめ細やかに聞こえ、キレがいい感じがする。ゆえに女性ボーカル・男性ボーカル・ジャズ・クラシック・ポップ・ロックまで何を聴くにも使えるイヤホンではなかろうか。店舗内で2万円ほどのフラットな音質を謳う有線イヤホンも視聴してみたが、HP-N300BTとの違いがあまりわからなないなぁと思うものもあったので、HP-N300BTのパフォーマンスはかなり高いように感じた。

低音に物足りなさは若干あるが、イコライザーである程度解消される

一方で低音の響き方には少し物足りなさを感じるところは否めない。身体にズンズン響くような低音はないので、EDMのような音圧を楽しみたい人には向いていない。ただこれは、僕が普段音楽を聴いているBose SoundLink Mini Bluetooth speakerがかなり低音重視なスピーカーであるという点が大きいと思われる。

確かな音質と圧倒的な重低音を手のひらの上に。Bose SoundLink Mini Bluetooth speaker
「音質」なんて曖昧なものを追い求めることに意味はあるのか? 意味はないかもしれないが、満足感は確かにある。 いいスピーカーが欲しかった この記事にもあるように、PCスピーカーはここ何年間かサンワサプライのMM-SPWD2BKという3000円

なのでイコライザー設定を低音重視にすると、そういう音楽でもそこそこ対応できるようになってくる。ただズンズン鳴るわけではないので、そういうものを求めている人には向いていないように感じられた。特別そこを意識するわけでなければ、イコライザーセッティング無しでもかなり満足できるはず。

aptXコーデックの強み

HP-N300BTはaptXコーデックに対応しているので、これまでaptXコーデックで聴いてみたが、試しにより一般的で低音質なSBCコーデックに切り替えてみた。切り替え方法は以下を参照。

Android8.0のスマホからBluetoothコーデックのaptXやLDACで高音質に音楽を聴く方法
Androidのバージョンが8.0になったことで、多くのスマートフォンでaptX・aptX HD・LDACといった高音質コーデックのBluetooth接続が可能になった。aptXはCD品質、aptX HDとLDACはハイレゾクラスの品質で音

すると劇的に音が悪くなった!…というほどのことは正直なかったのだが、意外とはっきりわかったのは音の響き方が全体的にマイルドになり、これまで粒だっていた音が丸く曖昧になってきたこと。そこでもう一度aptXに切り替えたところ、やはり音がはっきりくっきり表れるようになったので、aptXコーデックに対応しているというのはそれだけでイヤホンとしての価値が上がるのだと分かった。さすがはCD品質のデータ送信を可能とするコーデックなだけある。

少しホワイトノイズが入る

少し気になるのはホワイトノイズの存在。GALAXY S8はイヤホンをつないでもホワイトノイズがほとんど入らないのだが、HP-N300BTはBluetooth接続のためか、サーっというホワイトノイズが聞こえてくる。

解決策としては、送信側=スマホ/音楽プレイヤー側の音量を最大にして、受信側=イヤホンの音量を小さめにすること。今回の場合ホワイトノイズは受信側で発生しているので、そうすることでホワイトノイズをある程度消すことができた。僕の場合は周辺に雑音が多い環境で使うことがほとんどなので、実際の使用環境ではそこまでノイズは気にならなかった。

さすがに音ゲーをするには向いていない

試しにHP-N300BTをaptXコーデックで接続し、スマホで音ゲーをしてみた。ちなみに各コーデックの遅延秒数は

  • SBC:220ms±50ms
  • AAC:120ms±30ms
  • aptX:70ms±10ms
  • aptX LL:40ms以下

というようになっている。aptXは70ms=0.07秒の遅延に過ぎないのだが、誤差を含めると0.1秒近くなるため、さすがにタップするタイミングと音楽がずれて聞こえてしまうので、ゲームをするには向いていない。一方で動画を見る程度であれば全く問題なく、よほどスピーディーなものでなければ大きな違和感を感じることはなかった。

Bluetoothイヤホン過渡期な今だから

Bluetoothイヤホンという製品はまだまだこれからで、今は過渡期にあるように思う。今後の主流は左右分離のトゥルーワイヤレスになっていくはずだが、今それで満足のいく音質のものを手に入れようと思うと予算をある程度UPさせる必要があるのは間違いない。そのような状況でこのradius ULTMATE Solid HP-N300BTは、左右一体型ではあるが価格面でも音質面でもかなりバランスの取れた、というよりも音質面でかなりお買い得な逸品だと感じた。様々な音楽を高音質で、そして音楽プレイヤーとの間にケーブルがないストレスフリーな状況で楽しみたいという僕のわがままを見事にかなえてくれた。

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