以前レビューしたTinHiFi T2 PLUSは、耳にチクチク刺さる高音域が気持ちよく、お気に入りのイヤホンだったのだが、友人をイヤホン沼に沈めるために譲ってしまったので手元に残っていない。あのサウンドを味わいたいけど、だからといって同じものを買うのは芸が無い…。
なんてことを思っていたら、TinHiFiからT2シリーズ最新作であるT2 EVOが発売。もしかすると、このイヤホンなら僕の欲求を満たしてくれるのかもしれない。
TinHiFi T2 EVO
T2 EVOの箱はT2 PLUSと同様にかなりシンプルかつタイトな外箱に、手触りの良い化粧箱が入るスタイル。アラウンド$50のイヤホンとしては豪華な箱で演出感が楽しい。
- T2 EVO本体
- MMCX ケーブル
- シリコンイヤーピース×5サイズ
- フォーム系のイヤーピース×1
- 布製ポーチ
- 取扱説明書
が付属。今回はキャンペーンとしてフォーム系イヤーピースが3セット追加で付いてきた。
TinHiFi T2 EVOのスペック
ブランド | TinHiFi |
モデル | T2 EVO |
ドライバー | 10mmDD カーボン分子複合ダイヤフラム |
コネクター | MMCX |
応答周波数 | 10-20kHz |
音圧感度 | 93±3dB |
インピーダンス | 32Ω±15% |
付属ケーブル | 16芯編組銀メッキ銅ケーブル 3.5mmプラグ |
タンク形状の無骨なアルミボディ
TinHiFi T2には無印T2、T2 PRO、T2 PLUS、そしてこのT2 EVOの4種類が存在する。この内T2 PLUS以外は角張った円柱形(TinHiFi曰く「タンク形状」)をしている。アルミ削り出しにて作られているこのボディは非常に綺麗で、T2 EVOにだけ背面に円弧の切削加工が追加で行われている。僕の手元に届いたものはその切削部分への塗装が一部漏れていたが、まぁ遠目で見ればわからない程度なので良しとする。
空気抜きの穴は背面とノズルの根本の2箇所。ケーブルの接続端子はMMCXで、赤いマーキングがある方が右側となっている。このMMCX端子が妙に固くてはめ込むのに苦労した。ノズルは直型で短く、先端に細かい金属メッシュのフィルターが装着される。
パット見どの向きに装着するのが正しいのかわからないデザインをしているが、耳掛け形状のケーブルを使って、円弧の模様が下になる向きで耳に押し込むのが正解。コンパクトなボディなので耳の奥まで押し込めるのだが、そうすると僕の耳では角張った部分が当たって長時間使うと痛みが出てくる。もう少しノズルに角度がつけられていると嬉しいのだけど…。
純正ケーブルは細いが16芯の銀メッキケーブルとなっている。見た目にも落ち着いた銀色で美しく、軽量かつタッチノイズも少ないので扱いやすい。
音質:中音域にフォーカスを当てつつ高音域の煌きが気持ちいい
TinHiFi T2 EVOは箱出し状態ではあまり十分な音が出てくれないので、数時間~半日程度のエージングが必要。またインピーダンスが32Ωと高めなので、少しプレイヤーの音量を上げると心地よく音楽を聞けるようになってくる。
TinHiFi T2 EVOは全体的にかなり硬質でパキパキっとした音を出してくれる。これはおそらくカーボンコンポジットダイヤフラムの10mm DDによるもの。シンプルな1DD機なので音の厚みはそこまでなく、どちらかといえばあっさりドライなサウンドなのだが、その分特にフォーカスが当たっている中音域がはっきりしている。そこから先の高音域の煌きはT2 PLUSのような明瞭さがあり非常に気持ちがいい。全体に歯切れのよい余韻の少ない響き方をする分だけ解像度が高いように感じる。
低音域は意図的なものか、超低音域は早めにカットしているように感じる。特に音が重なってくると一歩引いてしまう。これにより派手なドンシャリサウンドが好きな人は物足りなさを感じるかもしれない。ただその割に音圧はやたらとしっかりあり、不思議と頭の中どころか喉ぐらいまで響いてくる感じがする。
その分だけ注力されるのが中音域。硬質で余韻が少ない分だけあっさりはしているが、他音域に比べてボーカルが前に出てくる。男性ボーカルだともう少し音の厚みが欲しいところはあるが、女性ボーカルは適度な線の細さが臨場感を増す。ギターやピアノの音色も明瞭でしっかり聞こえてくる。
そして中音域を支えてくれるのが高音域。T2 PLUSの耳に刺さる感じは少ないが、チクチクとした響きは気持ちよい。特に金属製の楽器が鳴らす硬質な音はよく響き、他ドライバーのBAでゴリゴリに押し付けてくるイヤホンとはまた違った味わいがある。
曲によってはハイパフォーマンスを発揮するイヤホン
TinHiFi T2 EVOはおそらく意図的に低音域をある程度カットしているため、低温にブーストをかける電子音楽系では少し弱みを見せる。地響きのような迫力ある低音域が欲しい人には物足りない一台になるだろう。ただその割に不思議な力があるのが、このイヤホンの特徴の一つだ。しかし個人的には、どうせやるならこの低音を捨ててでも中音域の厚みと高音域の尖りを出してほしかった。リケーブルによって若干この部分の改善は図れるが、全体的な物足りなさは解決できない。
オールマイティーなイヤホンとは言えないうえ、装着感に若干の難があるため、万人に受けるようなイヤホンではない。ただ、中高音域を多用する楽曲とうまくハマれば、スビード感のある切れの良い音色によって楽しさが倍増する。少し尖った一面はあるが、クリアで硬質なサウンドは高い魅力を持っている。
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