Shanling M6:全ての曲とイヤホンを再評価したくなる。圧倒的な情報量と細やかでウエットな音質が気持ちいいDAP

DAP

音楽を聴くときの音質は出口(イヤホン)に大きく影響されるが、当然のごとく入口(DAP)の質が悪かったらいい音にはならない。いいDAPがどれほどのいい音を鳴らしてくれるのか興味はあるものの、やっぱり値段が高いし、別に今のDAPに不満は無いし…。

と思っていたら、2019年のShanlingフラッグシップDAPを手に入れる機会が訪れた。これなら僕の好奇心を満たしてくれるかもしれない。

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Shanling M6

というわけで、2019年12月に発売され、発売当時メーカーのフラッグシップとして君臨したShanling M6を入手。Aliexpressのセールで掴んだグローバルモデルだ。かなり厳重に梱包されていたのにも関わらず箱に傷や潰れがあるのは中国製品独特の味わいなので、気になる人は国産を買いましょう。

凝った造りのパッケージを開けると、

  • Shanling M6本体
  • 取扱説明書(日本語あり)
  • 保証書
  • 保護フィルム(表裏両面の2枚入り)
  • USB-Cケーブル

が入っていた。

3.5mm・2.5mm・4.4mmオーディオジャックの全部入りDAP

Shanling M6は全体的に少し丸みを持ったデザインになっている。ちょうど片手で持つ辺りの側面が凹んでいるので手になじみが良い。ピアノブラックの両面と、半艶の黒に塗られたアルミの側面が高級感を演出している。

画面に向かって右サイドには電源ボタンとオーディオ音量を調整するリューズがある。ボタンの上には小さくLEDのインジケーターがあるのだが、電源を入れる時以外ほぼ光らない。

画面に向かって左側には曲送りのボタンと再生・停止ボタン、そしてmicroSDカードのスロットが備わる。どのボタンもカチッとしたタッチが気持ちいい。

出入力端子は全て底面に備わる。左から順に、USB-C・3.5mmアンバランス・2.5mmバランス・4.4mmバランスが並んでいる。

黒の純正本革ケース

今回は純正の本革ケースも同時購入した。茶色と黒があるが、見た目が好みな黒を選択。

純正ケースなだけあってぴったりフィット。上側が大きく開いたデザインだが、ぴったりなので本体が滑り出る様子はない。画面の端のタッチに若干支障が出るが、ほとんど気にならないレベル。

Shanling M6のスペック

モデル名Shanling M6
サイズ133.5×71.5×17.5mm
重量228g(実測235g / microSD+保護フィルム付)
OSOpen Android 7.1
CPUOcta-core Qualcomm Snapdragon 430
DACAKM AK4495SEQ×2
ディスプレイ4.7 inch 720×1280 Sharp IPS HD screen
Hi-Resサポート768kHz/32bitまでのPCMと5.6MHzまでのDSDネイティブ再生
(11.2MHzまでのDSDは変換しての再生で対応)
対応ファイル形式DSF、DFF、DXD、APE、FLAC、WAV、AIFF、AIF、DTS、MP3、WMA、ACC、OGG、ALAC、MP2、M4A、AC3、M3U、M3U8
ゲイン設定High / Low
出力系統3.5mmシングルエンド出力、4.4mm&2.5mmバランス出力
Wi-Fi対応2.4G / 5G
BluetoothVer 4.2
Two-way connection
対応コーデックLDAC(送受信)/SBC(送受信)/ HWA(送信のみ)
aptX HD(送信のみ)/ aptX(送信のみ)
RAM4GB
ROM32GB
拡張スロットMicroSD Card×1
512GBまで対応/理論上2TBまで対応
バッテリー12時間(シングルエンド)
9時間(バランス)
オーディオ特性シングルエンドバランス出力
出力値160mW@32Ω350mW@32Ω
S/N比118dB119dB
クロストーク75dB@32Ω109dB@32Ω
ダイナミックレンジ118dB119dB
THD+N0.001%<0.001%
出力インピーダンス<1Ω<2Ω

OSがAndroid7.1と少し古く、Bluetoothも5.0じゃないのが気になったが、OSはそのうちAndroid9にアップデートされるとかなんとか。ネットに繋がないスタンドアローン状態でも動くので問題ない。Bluetoothも考えてみれば僕はあまり使わないので気にしないことにした。

CPUはDAPにしてはハイスペックなSnapdragon 430を搭載し、DACはAK4495SEQをダブルで駆動。そのほかのスペックを見てもほぼ全部入りで、ポータブルDAPとしてはハイエンドに近いように思う。価格的にはミドルらしいが、僕にとっては十分高い。

ポータブルDAPと銘打ってはあるが、大きく重い。ちょうどスマートフォンを2枚重ねにしたような大きさで、10000mAhのモバイルバッテリーより少し重たいぐらいをイメージしてくれればよいと思う。スマートフォンがこれだけ薄くなった現代に、マイクもスピーカーもカメラもない、ただ音楽を聴くだけの機械がこんなに大きくていいのか…?僕にはまだわからない。

初期の立ち上げ画面はこれ。基本的にはAndroid OSなのでAndroid搭載スマートフォンを使用している人であれば特に困ることはないと思う。

戻るボタンなどが表示されないジェスチャーモードが標準になっていたので、そのあたりは設定→ディスプレイ→仮想ボタン設定から設定を変更した。Wi-Fiに繋いでもなぜか時刻表示が世界標準時のままなので、設定→システム→日付と時刻から時間の設定も変更しておく。

アップデートはSDカードにデータを入れる他、Wi-Fi経由でも可能。初期画面にある電球マーク→ファームウェアアップデートをタップするだけの簡単操作だ。この電球マークのアプリはShanlingのサポートアプリで、FAQやユーザーガイドも入っている。購入時最新ファームフェアであったV3.4にアップデートしたが、そこそこ時間がかかった。

標準プレイヤーはいまいちだったのでPowerampを使用

中国製のDAPなので、大人の事情によりAndroid OSなのに初期設定ではGoogle Playが入っておらず、代替のAPKPureというソフトウェアが入っている。そこから「Google」と検索するとGoogle Playが出てくるので、僕はそちらからアプリを入れることにした。

標準ではShanlingのオーディオプレイヤーアプリがインストールされているのでこちらで音楽を聴こうと思ったのだが、なぜか曲の最初の0.5~1秒ぐらいが切れてしまうというバグが発生していた(V2.2.5では最初の0.2秒ほどが切れる状態になった)。またプレイリストがうまく使えないのが困る。

どうやってプレイリストをパソコンと同期させられるのかさっぱりわからない。誰か教えてください。

今回はいくつか試してみた音楽再生アプリの中でも使い勝手が良く、見た目もかっこいいPowerampを使用してレビューを行う。

Poweramp - Google Play のアプリ
Poweramp は、Android のための強力な音楽プレーヤーです。 Poweramp v3は新しいオーディオエンジン、UI、ナビゲーションに注力したメジャーアップデートです。 • 新しいオーディオエンジン: • ハイレゾ出力をサポート(デバイスがサポートしている場合) • イコライザ/トーン/ステレオ機能の...

…しかしなぜかPowerampだと音量が半分ぐらいになる…。音量を上げれば全く問題ないのだが、原因が不明。Newtronなどの他のアプリであれば音量が変わらなかった。

Powerampで純正アプリと同等の音量を出す方法

Poweramp(V3)をインストール時の設定のままだと、純正アプリで30ぐらいの音量が、Powerampでは60程度にしないと出てこない上に、なんだか音質があまり良くない。YouTubeやAmazonミュージックなどの他のアプリではそうはならないので、音節云々は置いといても困る。これを解決する方法は、

設定→オーディオ→出力→OpenSL ES出力→有線ヘッドセット(スピーカー・Bluetooth・USB DAC・その他の出力デバイス)→DVC無効化・ヘッドルームのゲインを無効化・イコライザー/トーンの無効化・Duckを無効化

をすると純正アプリとほぼ同等の音量になる。

この状態でもShanling純正アプリの方がごくわずかに音質がいい(より細かい音が出ている)ような気がしないこともない…ぐらいの差があるような感じ。Powerampは設定が多くて難しいので、だれかベストなセッティングを知っている人がいたら教えてください。

USBデバッグモード有効化でPCと同期できる

僕は音楽をパソコンのMusicBeeにて管理して、そこからDAPと同期を取るようにしている。しかしShanling M6を直接パソコンとUSB接続させても、そのままではパソコンからM6の中やmicroSDを認識することができない。これを解決するためには、Android OSの開発者モードをONにして、USBデバッグモードを有効化させればOK。

設定→端末情報を複数回タップすると、開発者モードがONになる。開発者向けオプション→USBデバッグをONにすれば準備完了。パソコンとM6をUSBケーブルで接続すると、USB接続の用途を選択するオプションが出てくるので、「ファイルを転送する」を選択。

↑の手順で、パソコンの音楽管理ソフトとM6を同期させることができるようになる。

厚みがありながら繊細でウエットな音質

Shanling M6は2019年発売時にはShanlingのフラッグシップDAPだっただけあって、正直言って音質に関しては「素晴らしい」としか言いようがない。

パッと聞いてまず最初にわかるのは音の厚み。同じ音量で同じ音楽を聴いても、明らかに情報量が多く、これまで聞いたことの無い音がどんどん聞こえてくる。良いスピーカーやアンプで映画を見ると、音量が小さくてもしっかり耳に届くし、音量を大きくしても耳障りな感覚がほとんどしないが、あれと全く同じ現象が起きる。調子に乗って音量を上げると難聴になるかもしれない。

情報量の多さは音楽の繊細さにも繋がっている。ベースやギターが鳴く音、ドラムスティックの弾き、ピアノのハンマーが当たる瞬間、ボーカルの喉の掠れ…。濡れた唇から出る艶のある声や、スタジオの空気感まで伝わってきそうな感覚さえある。静寂は完璧な静寂としてそこにあるので、コントラストがはっきりしている。

そこまで大量の情報を耳に流し込むShanling M6だが、どちらかといえばバキバキの解像度感があるというよりも、ウエットで少しだけ柔らかい印象だ。もしかすると若干強調気味に思える低音がそう思わせるのかもしれない。はっきりとボーカルが聞こえる中音域も、どこまでも伸びていくような高音域も、目の前で演奏しているようなライブ感がある。音楽としてとても自然で聞き心地が良い。

使っているとほんのり本体が暖かくなってくるが、不安になるような発熱は無し。電池残量は結構なスピードで減っていくので、本当にシングルエンドで12時間再生できるのか少し疑問。まぁそんなに連続再生させることはないし、QC3.0の急速充電にも対応しているので問題はないだろう。

…しかし、手持ちのDAPのHidies AP80ってすごくよくできてるんだな…と、Shanling M6と比較してみて思った。もちろん比べるとAP80の方が音は軽いし繊細さにも欠けるのだが、むしろこの値段とコンパクトな持ち運び性能でよくここまで楽しく聴けるようチューニングされてるものだと感心。

ストリーミング配信にもばっちり対応

Shanling M6はAndroid OS搭載でWi-Fiにてインターネットに接続できるので、当然の事ながら各種ストリーミング配信サービスにも対応している。僕はあまり使ったことがないのだが、試しにSpotifyやAmazon Music、YouTubeを入れてみた。

CPUとしてエントリーモデルのスマートフォンによく搭載されるSnapdragon 430を積んでいるだけあって、アプリの動作はサクサク。少なくもSpotifyとAmazon Musicでは全く処理落ちすることはなかったし、YouTubeも動画を見ながら高音質を楽しむことができる。

当然のことながらジャイロセンサーは搭載していないので、自動の画面回転には非対応。画面はIPSパネルで発色は美しいのだが、HD画質なので今どきにしては解像度は高くない。音楽と動画を見るだけなら不満は無いが、スマートフォンの代用としては物足りないかもしれない。

新しい音楽との出会いを予感させるDAP

圧倒的な情報量と繊細な表現を鳴らしてくれるShanling M6。とても気持ちが良いので好きな音楽を全て聞き直してみたくなるし、イヤホンの性能も一気に引き上げてくれるので組み合わせを試したくなってくる。これまでスマートフォンからYouTubeで見ていたあの人やこの人の歌声も新たな発見があるし、ストリーミングサービスによる新しい音楽との出会いも予感させる。初期設定に一部難がある(時計の設定など)ので、買ってきたまま使いたい人にはあまり向いていないかもしれないが、Android OSなのでカスタマイズも楽しめる人には好ましいかもしれない。

「音を楽しむ」道具として、Shanling M6は素晴らしい体験をもたらしてくれるだろう。

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