やっぱり中華イヤホンといえばこのメーカーでしょう。
ということで、2020年のKZハイブリッドイヤホンのフラッグシップモデルとなる【KZ ZAX】を入手したので、レビューを行う。
KZ ZAX:片側1DD+7BAのハイブリッドイヤホン
KZ ZAXは、2019年のフラッグシップであったZSXをさらに進化させたモデル。片側に1DD+7BAの8ユニットを詰めこんだハイブリッドイヤホンだ。スペックだけでもすごいのに、中国通販で約$60、国内通販で約7000円で購入出来てしまう。だいぶ価格がおかしい。
- KZ ZAX本体
- 4芯3.5mm銀メッキ純銅ケーブル
- イヤーピース
- 取扱説明書・保証書
が付属。この辺の付属品はこれまでのKZイヤホンと同じくかなりシンプル。付属のケーブルはKZのアップグレードケーブルと同じものが最初から付属しているので、ちょっとお得感がある。イヤーピースはKZおなじみの溝付きのもの。
KZ ZAXのスペック
ブランド | KZ |
モデル | ZAX |
ドライバー | DD 10mmデュアルマグネティックサーキット BA 30019 ×2(中音域) BA 30095 ×1(高音域) BA 50024 ×4(全音域) |
コネクター | QDC(KZ TypeC) |
応答周波数 | 10-40000Hz |
音圧感度 | 113dB |
インピーダンス | 24Ω |
付属ケーブル | 4芯編組銀メッキ純銅ケーブル 3.5mmプラグ |
8ユニットの振分としては、低音域を10mmDDに当て、中音域に2台のBA、高音域に1台のBAを当ててている。さらに全音域のBAを2台1組として、2組を2か所に配置することで音の厚みを作っているようだ。
8ユニットが収まっているとは思えない小ぶりな本体
KZ ZAXは片側に8ユニットが収まるイヤホンではあるが、サイズとしては比較的小柄に収まっている。手持ちのKZ ZS10 Proより明らかに小さくて軽い。おかげで耳へのおさまりも良く、長時間着用していても耳が痛くなりずらい。亜鉛合金製のフェイスプレートには大きくベントが空いているように見えるが、実際には飾りのようだ。これゆえ音漏れはさほどない。高音域担当のBAが収められたノズルは金属製で、金属製のフィルターも付いている。
樹脂製半透明の本体を含め全体的にハイクオリティな仕上がりで、内部のドライバーが全て視認できるのがガジェット好きの心をくすぐる。
シャープな解像感と分厚い音域、超広い音場感を併せ持つ
KZ ZAXは箱出しからすでにものすごい音を聞かせてくれた。
まず分かるのは、衝撃的なレベルの音の厚み。超マルチユニットイヤホンなだけあって、低音から高音域まで、とにかく隙間がなく音がミチミチに詰め込まれた状態で耳に流れ込んでくる。音数が多い曲ならオーケストラサウンドを思わせてくれる。ここまでの音の濃さというのはイヤホンでは体験したことがない。
それでいてどの音域でも音がボヤつくことはなく、非常に高い解像感を持っている。全体的に金属質でシャープな印象だ。KZらしく超強烈に主張してくる低音がいるにもかかわらず、どこまでも音が輪郭をしっかりと保ったままなのが恐ろしい。だいぶ誇張気味、というかNICEHCK NX7に近い解像度感ではあるのだが。
さらに広い音場感まで獲得してきた。これまで僕が手にしたKZのイヤホンは、清々しいほどのドンシャリサウンドで楽しかったものの、頭の中でガンガン鳴っているような印象があった。ところがKZ ZAXはそれを克服し、立体感のある広い音場を味合わせてくれる。楽曲によっては本当にサラウンドサウンドに聞こえる。一体どうなってるんだ。
低音域はとにかく熾烈。10mmマグネティックサーキットドライバーが自然なドラムサウンドから、電子音楽のブーストされた超低音域まで、きっちり鳴らし鼓膜を揺らす。それなのにキレが良くシャープな音色だ。
中音域は非常に分厚く、これまたハイパワー。この音域を担当するBAが最も多いだけあって、とにかく音の量と厚みで圧倒してくる。ボーカルの息遣いから楽器への指運びまですべてを感じさせる解像感を持ったまま、今まで聞こえなかった音まで鳴らしてくれる。
高音域もきらびやかで金属質なキラキラ音まできっちり鳴らし切る。他音域に比べると少し主張が控えめに感じないことも無いが、それは中音域までが強烈過ぎるが故の勘違いであることにはすぐに気づかされるはず。高音特化型のイヤホンと比べれば少し劣る部分もあるとはいえ、ここまでの中低音域にきっちり合わせたチューニングとなっている。
ハイパワーサウンドの究極形
このイヤホン、はっきり言って元気系サウンドとして完成度が高すぎる。
全部の音がハイパワーかつソリッドなので、ウォーム系の音が聴きたい人には向いていないが、楽しい元気な音が聴きたい人にはこれ以上ない選択肢になるだろう。これといった欠点も見当たらず、誰に聞かせても確実にいい音だと思わせてくれる音色をわずか$60で手に入れることができる。今購入を悩んでいるなら絶対買いだと思う。むしろまだ買ってないんですか?
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