「お気に入りの有線イヤホンを無線化できたら、もっと便利に使えるのになぁ…」と思うときはある。そんな欲望を解決してくれる商品を、中国製イヤホン専門店のEasy earphonesより提供していただいたので、レビューを行う。
KBEAR S1
それがこの【KBEAR S1】。有線イヤホンを無線化できる首掛け式Bluetoothケーブルだ。想像の3倍ぐらい大きな箱で来たのでちょっとびっくりした。
- KBEAR S1
- 取扱説明書(英語/中国語)
- microUSBケーブル
が付属。コネクター形状はMMCX / 2PIN / TFZの3種類から選べるが、今回は最も汎用性が高い2PINを選択した。
充電端子がmicroUSBなのは残念。価格を下げるための手段だとは思うが、ここはTypeCにしてほしかった。
KBEAR S1のスペック
モデル名 | KBEAR S1 |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetoothコーデック | Apt-X / Apt-X HD |
チップ | Qualcomm QCC3034 |
接続距離 | 10m |
重量 | 15±3g 実測 |
素材 | ABS樹脂 |
ケーブル長 | 90±3cm |
プラグタイプ | MMCX / 2PIN / TFZ |
バッテリー容量 | 120mA |
連続稼働時間 | 10時間 |
待機時間 | 約100時間 |
充電時間 | 1時間 |
防水性能 | IPX5 |
その他 | CVCノイズキャンセルマイク搭載 |
良好な付け心地と実用的な使い勝手
KBEAR S1の装着感はとてもいい。特にバッテリーとコントロールユニットが左右で分かれているのでバランスが良いし、首掛け部分も含めケーブルはサラッとした触り心地なので気持ち悪さがない。コントロールユニット/バッテリーはちょうど首の前ぐらいでぶらさがっているのだが、大きく首を振らない限り皮膚に当たらない位置に来る。そもそも軽いうえに、耳掛け形状のケーブルなことも加わって、重さを感じない。歩くぐらいでは気にならないし、公共交通機関での通勤通学には便利だと思う。走るとコントロールユニットが暴れてタッチノイズが気になるので運動には向いていない。
接続強度はかなり強く、DAPを置いた状態で部屋の中を動き回ったり、壁を一枚挟んだ隣の部屋に行ったりする程度では切れないし、一瞬だけブチっと音が切れるようなことも無かった。使い方も電源ボタン(再生ボタン)を押して機器とペアリングするだけなので超簡単。apt-X接続時に動画を見てみたが、遅延もほぼなかった。それでいて10時間も連続再生が可能なのだから素晴らしい。
Bluetooth機器との接続は2台同時で可能なので、DAPとスマートフォンの接続もできる。DAPで音楽再生中に同時接続されているスマートフォンに着信があれば、自動的にそちらに切り替わり内蔵マイクを使って通話が可能。通話が終われば自動でDAPと繋がり音楽再生モードに切り替わる。曲送りは音量ボタンの長押しで操作できる。
もちろんゲームをするのには遅延の問題で向いていないとは思うが、一般的な使用方法であれば不満な点は全く無いだろう。少なくとも僕は使い勝手で何か気になる点がない。
ほんのわずかにパワー不足ながら、ほぼ有線音質
まず前提として、Bluetoothオーディオ機器を使う場合のポイントとして【発信側の音量を最大にして、音量を受信側で制御する】というのがある。これをしないと受信側の性能を活かせない場合があるので必ず行ったほうがいい。ただ音量の微調整が効きづらくなるので、最終調整はDAP側で行う。
今回はHIDIZS AP80とapt-Xコーデックで接続してレビューを行った。
まずこのS1を同じKBEARブランドイヤホンであるKS2に接続してみた。KZ2は1BA+1DDのベーシックなイヤホンだ。
再生ボタンを押してまず思ったのは、ホワイトノイズの少なさ。全くしないわけではなく「サー」っという音は耳をすませば聞こえるのだが、電車など周囲の音がある環境では気にならないだろうというレベル。音楽再生中はまず分からない。また音楽を停止させるとホワイトノイズも消えるので、この辺の制御は素晴らしい。
音質面では極端な変化はなく、単体で聞けば全くといっていいほど有線との違和感は無いように思う。ただイヤホン純正の有線ケーブルと付け替えてしっかりと比較してみると、音圧感や厚み、キレといった部分がわずかに劣るような印象。有線接続比で95%ぐらいのパワー、解像感になる。
ただ一方で不思議なことに左右の分離感はKBEAR S1での無線接続の方がいいように思う。
TRN BA5と接続した。フルBAイヤホンなためか、これと接続するとこれまでの物よりもホワイトノイズが大きく聞こえて静音時はちょっと気になる。
それ以外の部分についてはKS2に接続したときと同じで、有線との差はほとんどない。さすがに16芯ケーブルと比べると情報量の差を感じるが、標準ケーブル比であれば問題ないレベル。
ちなみに、最初の【発信側の音量を最大にして、音量を受信側で制御する】というポイントを無視して、いつもDAPの音量を有線の時と同じぐらいに設定したのちに音量をKBEAR S1で調整すると、かなりイマイチな印象になってしまう。全体的にパワー不足で、例えばKS2と接続すると低中音域が一気に痩せてしまったり、NX7では妙にサ行の刺さりが強調されたりする。同じ音量に聞こえても音の厚みがペラペラになってしまうので、おそらく基本的なパワー不足はあるのだろう。
設定次第で印象が激変するが、うまく使えば満足度は高い
正直な話、一番最初に使った時はDAP側の音量を有線のままにしていたので「音が痩せすぎてダメだ…」と思ったのだが、キチンと設定し直したらほとんど違和感のないレベルの高音質で音楽再生ができた。設定次第で印象が激変してしまうのはいただけないが、そこさえ押さえれば有線と遜色ないレベルで音楽を楽しめるのは素晴らしい。
きわめて実用的な使い勝手と、高音質コーデックApt-X HDに対応しているKBEAR S1は、お気に入りのイヤホンをもっと気軽に使うのにちょうどいいBluetoothケーブルだった。
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