中華イヤホン専門店のKeephifiより、2020年6月末に発売されるという新商品【KBEAR KS2】を提供していただいたので、レビューを行っていく。
KBEAR KS2
KBEAR KS2は1BA+1DD(10mm)を樹脂ボディに内蔵した、低価格中華イヤホンの基本形のようなデザインを持つ。先日レビューした同ブランドのKB04は金属筐体の1BA+1DDイヤホンだったこともあって、それとの違いも気になる。
色は黒と緑の二種類があるとのこと。今回提供していただいたのは緑のマイク無しモデル。
付属品は、本体・イヤーピース・ケーブル・取扱説明書と必要十分な構成。パッケージ上のイヤーピースは透明だったが、実際に付属するのは黒いタイプのものだった。
KBEAR KS2のスペック
ブランド | KBEAR |
モデル | KS2 |
ドライバー | 1BA+1DD(10mm) |
コネクター | 0.78mm 2pin TFZ型 |
応答周波数 | 20-20kHz |
音圧感度 | 106dB±3dB |
インピーダンス | 16Ω |
付属ケーブル | 4芯編組ケーブル 3.5mmプラグ |
オーソドックスな見た目の樹脂ボディ
KBEAR KS2は現在の中華イヤホンとしては極めてオーソドックスな樹脂製でモナカ形状のボディを持ち、金属製のノズルを備えている。1BA+1DDとしてはボディは少し大きめで、ケース内には割と余裕が残っている。半透明のボディは綺麗に成形されている。
重量は軽量で、装着感も特に違和感がない。長時間装着していてもさほど苦に感じることはなかった。
おそらくBAはノズル内に配置され、ネットワークボードを介して接続されている。ノズルの先端にはかなり細かめの金属メッシュフィルターが装着されている。
付属ケーブルは4芯の耳掛けタイプ。端子や三又の作りは違うが、物としてはKZの標準ケーブルと同じように見える。柔らかくタッチノイズも少ないので十分実用に耐える。コネクター形状はTFZ型だが、通常の0.78mm 2pinケーブルが使えるのでリケーブルも気軽に楽しめる。
音質:低音を土台とした、抜け感と音圧を両立したサウンド
KBEAR KS2をぱっと聞いたとき、何か特別に優れているポイントがあるようには正直思えなかった。どこか突出した場所があるわけではなく、すごく自然に音楽を聴ける。好みの問題は置いておいても、KBEAR KB04の方がずっと個性的なイヤホンだ。しかし聞き込んでいくと、この無個性さはむしろすごいことだなと考えを改めさせられた。
高音域はBAが担当しているらしく伸びるしくっきりしている。ある程度のところで減衰していくのでものすごく高音が出るわけではなく、不快な刺さりは一切ない。くっきりしているのに少し丸い印象だが、キレもいい。
中音域について、前に出過ぎることも引っ込み過ぎることも無く、ボーカルの性別に関係なくフラットな印象。BAとDDの繋がりも自然で全然分からない。不明瞭な部分や妙な粗もないので、とても聞きやすい。
低音域がこのイヤホンで最も特徴がある部分だと思う。他音域に比べて少し前に出てくるこの低音は、十分な圧があるのに抜け感が良く、キレも締りもいい。往々にして音圧を高めたイヤホンは精細さに欠けるのだが、そのバランス感が絶妙。この低音がしっかりと音の土台を形成している。超低音についてはカットされているので、ブーストされたサウンドは苦手なようだが。
一見無個性、実は実力派
KBEAR KS2は全体として、めちゃくちゃキレがいいわけでも、強烈な音圧がある訳でも、音にすごい厚みがあるわけでもない。見た目もオーソドックスだし、中華イヤホンの世界においては無個性なものに感じるかもしれない。
しかし、若干ドライ気味なそのサウンドは、一見特徴が無さそうに見えて、聞きこめば聞き込むほど上手くまとめ上げられていることが分かる。付け心地が軽く、音場が広くて音もあっさり系なので、長時間音楽を楽しむのに適している。
KBEAR KS2の発売は6月30日、価格は$30前後になる予定とのこと。
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